2018年11月29日
胸が躍る小さな命
淀川でアユの流下仔魚調査。
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「生きている川、死んでいる川の基準って何?」と聞かれたら、
自分の中ではアユの天然溯上があるか、ないかで判断します。
アユは驚くほどたくましい魚で、この魚が溯上できない川に魅力が感じられません。
上流にアマゴやヤマメの渓流魚が生息していて、海に下ったサツキマスやサクラマスが溯上してくる河川はさらに魅力的。
モクズガニやテナガエビが捕れて、夏になれば汽水域にハゼが集まる川も「生きている」ことを実感できます。
放流して資源量をキープすることも必要なのかもしれませんが、やはり自然再生産のネイティブが棲んでいてこその生きている川だと思います。
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▲昨年の春にオープンした「さくらであい館」。展望塔からは木津川と宇治川が一望できます。
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11月17日(土)、淀川で行われたアユの流下仔魚調査に参加させてもらいました。
アユは秋に産卵し、仔魚は川を下って河口付近の海で稚魚期を過ごし、春先から川を溯上します。
この調査は孵化したばかりのアユの仔魚をプランクトンネットで採捕し、仔魚の状態から産卵状況を調べるのが目的です。
▲意外と楽しいカウント作業。学生さんには敵いません。
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この調査を実施しているのは『京の川の恵みを活かす会』です。
この会は鴨川・桂川・淀川流域の自然の恵みを豊かにし、これを活かしていくことに賛同する関係団体・個人で構成された連携組織(ネットワーク)です。
日本釣振興会京都府支部もこの活動に参加し、釣具業界(つり環境ビジョン)も支援しています。
京都大学の先生や学生さん、京都市や国交省、漁業関係者、釣り団体、地元の河川環境に興味がある方など、いろんな立場の人が集まっています。
ホント、素晴らしい活動です。京都は川のある暮らしが文化になっているので、釣り人からも川を大切にしようという気持ちが伝わってきます。
日釣振京都府支部の多賀紀文さんから声をかけていただき、1日だけですが勉強がてらお手伝いに出かけました。
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▲1cmマクロのデジカメではこれが限界。死んでいる個体も多かったです。
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今年も新たなアユが誕生!
この日の調査地点は淀川三川(桂川・宇治川・木津川)の合流点近く。3班に分かれて3河川同時に行いました。
夕方4時30分に集合して、5時30分から1時間おきに橋の上から5分間プランクトンネットを下ろしてアユの仔魚を採捕します。
日中は底近くに沈んでいるそうですが、夜になると浮いてきて流下するため夜間の調査になります。
淀川三川の中では産卵場の環境がいいためか、この日も木津川でよく捕れました。
プランクトンネットの下に溜まったゴミやプランクトン、さまざまな水生生物をトレイに移し、そこから数ミリの仔魚を探していきます。
老眼おやじにはちょっとキツいけれど、意外と楽しい作業です。生きている仔魚を見つけると、すごくうれしい気持ちになります。
夜間7時間にもおよぶ調査ですが、極上のきのこ汁を食べながら楽しく勉強させていただきました。
大阪のど真ん中を流れる淀川に毎年アユが溯上し、京都の桂川や鴨川で天然アユが豊漁になる日を願います。
自然再生産。これからの内水面漁業は放流に頼るだけではなく、自然の恵みを活かしていくことも大切だと思います。(事務局 K)
2018年11月29日 12:10