日本ヘラブナクラブ

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2017年6月14日

ダムから落ちた魚たち (布目)

RIMG4797近畿大学のアメナマ実態調査

本格始動。まずは下流域から。


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今年もアメリカナマズ釣獲調査釣り大会を開催します(7月15日)。

この大会に協力していただいている近畿大学農学部環境管理学科では、布目川の河川環境を調査研究しています。

そして、今年から同大学の水産学科も加わり、アメナマ実態調査が本格的にスタートしました。

食欲が旺盛で繁殖力が強く、生態系への影響が心配される外来ナマズだけに、私たち釣り人の団体(NHCとJOFI奈良)も放っておけないということで、サンプル個体の採捕や釣りで得られたデータを提供するなど、近大の調査研究に協力しています。

先日、第2回アメナマ大会の打ち合わせで近畿大学へ伺った際、「6月12日にダム下流域でサンプルの採捕をするので来られませんか?」と声をかけていただき、その野外実習に参加させていただきました。



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ダム下流で60~70cmのサンプル個体を5匹採捕

ダムサイトから下流にもやはりアメナマは複数いました。

釣り(4匹)とタモ網(1匹)で計5匹を捕獲。60~70cmクラスのグッドサイズばかりでした。

ダム下にいることは近大生から聞いていたので驚きましませんでしたが、放水口のプールだけでなく、流れのあるところ(トロ瀬)に複数いたのが予想外でした。


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アメナマは陸上でも暴れまくるのですが、全身麻酔で手術台へ。

光永 靖先生のオペ開始。魚の行動を追跡するために電波発信機を魚体に取り付ける作業です。

その方法を学生に伝授しながらオペは無事終了。

発信機を背負った2個体が捕獲場所でリリースされました。

ちなみにこの発信機の電池はイスラエル製で、軍事目的で開発されたものだそうです。



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続いて小林靖尚先生のオペは、ゴッドハンドに感激しました。

採血の後、見ごとな包丁さばき(メスさばき?)で無傷な内臓を摘出。

心臓は切り離してもしばらくピクピクしていました。

腸はパンパンで、間違いなく大食漢です。

臓器や生殖器はバラバラにされてすべて研究室へ。

血液や耳石、筋肉なども調べるとのことでした。

これから布目川や布目ダムにおけるアメナマの生態が解明されていくことでしょう。

調べることの多さに驚きました。釣り人は魚のことを知っているようで知らないことばかりだと改めて感じました。

 



心配される下流域への生息範囲拡大。

ダムから流下する魚を防ぐことはできないのだろうか。

 

布目川は木津川の支流、木津川は淀川の支流です。

木津川や淀川でもすでにアメナマが釣れたという情報がありますが、まとまった数が捕獲されたという話は聞いたことがありません。

今回、布目ダムのすぐ下流でかなりの密度でアメナマが生息していたということは、「ダムから落ちた個体」、もしくは「ダムから落ちた個体から生まれた個体」という可能性が高そうです。

「ダムから魚が落ちる」ことはよくあることですが、実はそのことが前々からとても気になっていました。

身近な事例として、白川ダムから水を引いている田んぼでワカサギが繁殖していたことがありました。

また、室生ダム下の溜まりにヘラブナがいることも漁協管理人の平崎さんから聞いたことがあります。

取水口の位置や構造などで魚が落ちやすいダムとそうでないダムがあるみたいですが、特定外来生物を拡散させないためにも、貴重な魚資源(釣り対象魚)を流出させないためにも、ダムからの魚流出をなんとか防ぐ方法はないものでしょうか。

ダムは利水と治水を目的に造られたものなので、国交省や水資源機構の関係者に「魚が流出しない取水口を考えてほしい」という要望書を提出したらお困りでしょうか。

でも、紀の川であんなに手の込んだ魚道を作るぐらいだから、ダムからの魚流出防止策も考えていただけるかもしれないですね。

今回の近大のアメナマ実態調査もそうだけど、いろんな意味でよりよい釣り場環境を整備には調査研究が必要だと思います。(事務局 K)



※ ダム直下エリアは関係者以外立入禁止になっているのでご注意ください。


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<P.S> 嗚呼、学生に戻りたい。

正直、アメナマ問題への取り組みは苦労ばかりです。

でも、今回は近畿大学の野外実習にちょこっと参加させていただき、久々に新鮮な気分になりました。

興味があることを思いっきり学べる環境なんて夢のよう。

今から大学へ入ったとしたら、卒業したら還暦か・・・。

そんなことを考える前に、入学できる頭もなければ、経済的にも苦しいか・・・。

また機会があれば、野外実習にお邪魔して、タダで学生気分を味わおう。(笑)


2017年6月14日 17:59